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30周年を祝いIENAとUNION LAUNCHがコラボレート、限定コレクションが誕生した。IENAはクリエイティブディレクターの加藤公子にとっては思い入れの深い古巣でもある。バイヤー時代に培われたモノ作りへのこだわりと、UNION LAUNCHの魅力について、毎シーズンのクリエイションを見続けてきたIENAバイヤーの西田美紗子さんと語り合った。

「新しい形になっても、服は加藤さんが作る世界だろうと想像してました」(西田)

加藤:今も鮮明に覚えているんです。UNION LAUNCHの前身、GRAPHIT LAUNCH時代に初めて西田さんが展示会に来てくれたときのこと。IENAのバイヤーチームに入ったばかりで、すごく初々しくて「可愛い人がやって来た!」って思ったんですよね。
西田:IENAを卒業された方のブランドだよとうかがい、チームの先輩に連れられておじゃましたんですよね(笑)。もう12、3年前です。
加藤:それから毎シーズン、展示会にいらしてくれてUNION LAUNCHの立ち上げ準備のために休止する最後のシーズン(2015年春夏)に「私、やっとバジェットが持てるようになりました」とオーダーをつけてくれたのが、とってもうれしかったんです。その時に初めて別注も一緒にやらせてもらって。
西田:そうでしたよね、一度お休みをして新しく立ち上げ直すと加藤さんから聞いて驚きました。
加藤:「一回区切ります、そして私は富山に行きます!」って宣言して(笑)。西田さんにはUNION LAUNCHのデビュー前から、ブランドではなくプロジェクトにしたいと思っていることや、異業種との協業についてお伝えしたんですが、立ち上がった1stシーズンから取り扱いをスタートしてくれました。当初からプロジェクトの全体像に理解を示してくれて、柔軟に「一緒にやりたいです」と言ってくださった1人です。
西田:お話をうかがって、すごく面白そうだなと思ったんです。でも、お洋服はきっと変わらず加藤さんが作る世界のままなんだろうなって想像してました。実際、1stシーズンから全然ブレがなくって。それまでも作り手との関わりとか、買ってくれた人への届け方を大切にされていましたが、それがより伝わりやすい見え方になって、しっかりと形になった印象でした。
加藤:自分にとっての“スタンダードなアイテム”という基本形は、結局今も昔も変わらないんですよね。そこに毎回、少しずつ何かしらチャレンジをしていっている感じ。あと、当時に比べるとクオリティも格段に上がっていますね。それも機屋さんや工場さんの協力を得てできていることです。プロジェクトから生まれた服をIENAのような素敵なお店がお客さまに届けてくれているんですが、西田さんとはそのラインが容易に作れた気がします。
西田:IENAのお客さまも、どこでどういう風に作られたのか、しっかりとした背景のある服を選びたいという方が多いんです。決して華美ではないけれど、着ていてその良さを納得できる服。そこがIENAのお客さまのニーズともマッチしていて、スムースに提案できるのかなと思います。
加藤:どちらかと言うと編集者的な目線なんだと思います。何をどうやって作っているかの方が重要で、その感覚は、振り返ればバイヤー時代からずっと変わらない。海外に行く機会が多かったので、このデザイナーが作ったこの服は一体どこで作っているんだろうって、現地の工場まで探しに行ったりしてました。グラスコーから小さなプロペラ機に乗って、ストノーウェイという町がある島に行ったことをよく覚えてます。通称、ハリス島と呼ばれていて、おじいちゃん、おばあちゃん達が自宅の織り機でハリスツイードを織っているんですが、当時、すでに旧式の織機を操る職人が絶え一般には出回っていなかったヘビーオンスのハリスツイードが見たくて、その島にあった工場まで訪ねて行ったんですよね。
西田:そういう情熱がまさしく今につながっているんでしょうね。

「昔から見続けてくれている西田さんだから生まれたコラボレーションです」(加藤)

加藤:私が入った当初のIENAはスタンダードな世界観を持っていたんです。それこそリーバイスの501とか、コンバースをしっかり扱っていたりとか。海外のブランドはほぼヨーロッパでした。
西田:フレンチシックがコンセプトなので、私がIENAに入った時代もヨーロッパものが中心でした。そこは今でもずっと変わらないところですし、UNION LAUNCHにもそのベースに通じるものがあるなといつも感じます。今回、30周年で作っていただいた限定アイテムも、とてもIENAらしいし、UNION LAUNCHらしくもあるなと個人的に思ってるんです。
加藤:西田さんが「加藤さんが以前にやっていたこういうものを形にしたい」と具体的なアイデアをあげてくれて、そこから盛り上がって話をしながら形になっていったんですよね。昔からUNION LAUNCHを見続けてくれている西田さんだから生まれたコレクションです。作っている時も私の中で“UNION LAUNCH Traditionals”と勝手に名付けてたんですが、本当にUNION LAUNCHのトラディショナルな部分が凝縮された仕上がりになったと思います。
西田:まさに“トラディショナルズ”と言うべき精鋭たちを作ってもらったなと思います。今季のIENAではUNION LAUNCHの新作からこの限定コレクションに合うアイテムをピックアップしました。デニムのシャツにヒョウ柄のボトムスを合わせたりなど、少しいつもと違う雰囲気になるものを意識してセレクトさせてもらっています。
加藤:デッドストックの赤のウィンドーペンのパンツもIENAさんだけでの取り扱いなんですよね。赤のボトムスって気分が上がるんです。ネイビーと赤の合わせとか、トリコロールカラーはやっぱり永遠だなって思います。
西田:加藤さん、いつもネイルが赤なんですよね。ジャケット姿に真っ赤なネイルがトレードマークな気がしていて、赤はUNION LAUNCHらしさを表す色のひとつだなという印象があります。
加藤:そこも、西田さんが以前のブランドから見続けているから理解してもらっている点ですよね。赤のパンツは昔もよくやっていて、UNION LAUNCHでも一度、全身赤のスタイルを作ったことがあります。ネイビーから派生して明るいロイヤルブルーを入れてみたりとか、気がつくとトリコロールになっているんです。そういうところにも、IENAが染み付いているのかもしれません。
西田:加藤さんを始め、先輩たちがIENAの土台を作ってくださって、その同じ道が今に続いている部分がたくさんあるように思います。スタッフ全員女性ですが、“ザ・体育会系”なマインドなところも(笑)。一番は、自分たち自身が楽しみながらやるということ。それは先輩たちを見ながら学んでいった、IENA流と言うべきものですよね。
加藤:私の中でもIENAへの思い入れは大きいです。UNION LAUNCHのデビューシーズンには、大がかりなPOP UPをやってお祝いしてもらったんですよね。オープニングの前夜にスタッフが残ってくれて商品説明会をやったんですが、その時もう感極まってしまって。あれから何年経ったんだろうって泣きそうになりながら話していたら、先にスタッフの方が涙を流してて、それでまたもらい泣きしちゃって(笑)
西田:結局、みんなが涙したんですよね(笑)

「みなさんの和気あいあいとしたエネルギーに吸い込まれます」(西田)

西田:加藤さんはいつも丁寧に、綿密に計画してUNION LAUNCHの協業プロジェクトを進めてらっしゃるんですけど、横からそれを拝見していると本当に楽しそうに見えるんです。みなさんがわーっと盛り上がっていて、それに引き寄せられるというか。和気あいあいとしたエネルギーに混じっていたいという気持ちになって、吸い込まれるんです。
加藤:西田さんは地方のイベントにもほぼ全て来てくれているんですよね。だから何かやる時には「あ、西田さんに連絡しなきゃ」って思う(笑)。富山でのイベントも夜中に「行きます!」と連絡をくれましたよね。
西田:行ったら必ず驚かれますよね(笑)。本当にUNION LAUNCHさんとやりたいことがいっぱいあるんです。生地の作り込みから始まって、作る工程を考えたモノ作りをされているので、そのスタートから一緒に参加させてもらえたら素敵だし、服だけじゃなく、プロジェクトに関わっている作家さんやアーティストなど周りの楽しいみなさんとも一緒に関わっていきたい。それをお店でも発信して、お客さまに伝えていけたらいいなと願ってます。
加藤:私もファッションが何に利活用できるか、掘り下げていきたいなと考えています。西田さんはプロジェクトの本質を理解して、楽しんで取りあげてくれているので、この先もきっと賛同してくれるはずって勝手に思っています(笑)。東京にとどまらず地方でも、いろんなところに火種を作っていきたいので、これからもぜひ一緒に面白いプロジェクトをやらせてください。

西田美紗子(にしだ・みさこ)
2007年入社、IENAに配属。ショップスタッフを2年半経験した後現職のバイヤーとなる。フレンチベーシックなスタイルを軸に、そこにそのシーズンの色やディテールなどを合わせることを楽しみながらIENAで展開する商品の買い付けを行う。UNION LAUNCHの地方イベントには「普段は絶対にしないんですが、加藤さんに喜んでもらうためだけに(笑)」、ご主人とペアルックでUNION LAUNCHを着て駆けつけるのだそう。